いつも早くに来た子供達は誰かしらが必ず、昆虫を眺めて戯れているのだが。

『あ…美緒、そう言えば、【はねで君】死んじゃったよ…』と、道場に来た美緒ちゃんに話し掛けると。
『えぇ…うそ?…【はねで君】ラブだったのに…(可愛がっていた)』彼女が寂しそうに答えた。
将来は御笑い芸人になりたいと話してくれる美緒ちゃんだが。(小学2年生)

彼女は、カブトムシ達に名前を付けてくれて可愛がっていた。
その中には…
【はねで君、しずかちゃん、力持ち (君・ちゃんは無し)、暴れる君、けんた君】
他にもまだあったかと思う。
【はねで君】とは、羽を畳めずに飛び出したままの未熟児だった、雄カブトムシだったが、彼女は【羽出君】を凄く可愛がっていた。
【力持ち】【暴れる君】も、かなり笑えたが…(雄のカブトムシ達)
ちなみに【しずかちゃん】は雌。(あまり動かず静かだから)
ある男の子は、カブトムシ達を常に触ってしまう為、いつも度々注意されているけど、それも勉強だから全然良い。(カブトムシ達は触り過ぎると長生きしない為)
ただ…子供のうちは楽しくて気になり、常に昆虫をいじくり倒してしまう物だ。
彼らくらいの頃は、俺もそうだったが、【カブトムシ】【クワガタ】は、常にいじり過ぎて直ぐに死なせてしまっていた。
だから、男の子達の気持ちは本当によく解る。
女の子達は楽しく眺めたり、小まめに昆虫ゼリーを交換してくれたり。
【はねで君】は、俺も確かに気に入っていた。


